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■全国書店新聞    12月1日号記事
2004/12/01記事一覧      全国書店新聞一覧
  【 出版社は書店POSデータをどう活用しているか 】
 10月8日に開催された全国広報委員会議で、語学専門出版社「語研」営業部課長の高島利行氏が、ITの書店経営への影響をテーマに講演。

書店から提供されたPOSデータを出版社がどのように活用しているかを解説し、メディアとしてのインターネットとの付き合い方と活用方法を語った。

〔販促・在庫管理・配本に活かす〕  今日お話しするポイントの1つ目は、書店さんから提供されたPOSのデータが出版社でどう活用されているか、弊社の例で説明したい。

もう1つは、インターネットとどう付き合うか。

一番大きな話題はオンライン受発注だと思うが、今回はインターネットのメディア的な側面、つまりテレビやラジオと同じものとして捉え、それをどう活用するかという話をしたいと思う。

 POSデータを出版社がどう活用しているかだが、書店さんから頂いたデータは、いつ、どこで、何が、何冊売れたというものしかない。

そこでデータベースやエクセルによる作業が必要になる。

弊社では例えば、クロス集計というものを行っている(表)。

横軸に売上げ上位50店を、縦軸に売れ筋上位50銘柄を順に並べる。

左上の角にくるのは、一番売れているお店と一番売れている本ということになる。

 問題は、表の中で真っ白に抜けているセルで、これが非常に重要だ。

一番売れている本はCDブックとなっているが、6番目の店で白く抜けている。

1ヵ月1冊も売れなかったということだ。

また、全体で5番目に売れている店で、2番目に売れている本が売れていないことがわかる。

1位から3位くらいの商品であれば普遍的に売れる商品なので、基本的にどこでも売れていなければならないし、特に売行き上位の店ではしっかり売れていないといけない。

ところが上位の店、上位の商品にもかかわらず空白がある。

 表を150位、200位までとった場合、上位の商品はどこでも売れているかというと、白抜きばかりなのである。

どういうことかというと、物がいきわたってないからだ。

もちろん語学の棚がないお店で売上げが上がらないのは当然の話だが、こう見ていくと白く抜けている部分は非常に気になる。

 また逆に、時折ごそっと売ってくれているお店があるのが分かる。

そこには、近所のスクールでテキストに指定されたとか特殊な事情があったりする。

こういったことが、POSデータをいただくことで簡単に分かるようになっている。

営業としては当然、売れていないところを売れているように変えることが仕事になる。

よって売れていないことが分かる情報の方がより重要になる。

 また、製作数と初回配本数、納品・返品、実売数をグラフ化して市中在庫を予測することも行っている。

弊社でメインに使ってているP―Netでは、4千軒以上の書店のデータが入ってくる。

データの捕捉率としてだいたい70%くらい実売を把握していると思う。

実売が分かることによって、市中在庫と増刷部数の予測がある程度可能になってきた。

 市中在庫が分かると、出版社は安心して増刷が出来る。

市中在庫がだぶついているのかいないのかや、売れてても市中在庫がだぶついている場合と、市中在庫も薄くなっている場合とでは、やるべきことが変わってくる。

 昔だったら何十億というお金をかけないとできないシステムが、P―Netでは1社当たり月5万円程度のお金でデータがいただけるようになっている。

もし全部の店からデータをいただければ市中在庫は100%把握できるが、70%把握しただけでも、増刷に関して刷り過ぎることはほとんどない。

 配本の店舗数を決めるのは、店舗の実売をもとに作成したパレート図というものを使っている。

ABC分析をご存知の方も多いと思うが、上位2割の商品で全体の8割の売上げを上げているという経験則がある。

一般的なABC分析では、とにかく上位2割のお店に全精力を注ぐというやり方だ。

ところが、グラフで80%のところに線を引くと、2割どころか4割ぐらいまでカバーして8割の売上げを上げている。

これは多分、本という商品の特性だと考えている。

なぜなら、ほかの出版社でも2割の店で8割の売上げをカバーできていないからだ。

 出版社はどうしても人数的な限界があるから大型店を中心に営業をかける。

だが大型店は基本的に返品が多くなる。

広く、多くの店に1冊ずつということをしないと、出版社は返品率をこれ以上下げる事は無理ではないか。

 これらのグラフで見えてくるのは、本というのは思った以上に広い範囲で売れている商材だということと、絞って営業をかけるメリット・デメリットがあること。

テレビで紹介された本のように鮮度が命の物は一気に平積みで勝負をかけたいというのはわかる。

しかし鮮度が落ちにくい商材は広い範囲で長く売ることが、うちの社では有効かなと思っている。

 書店がPOSレジを導入・管理するにはお金がかかるが、それに見合うだけの意味があるかというと、現時点で出版社が活用しきれていない状況があり判断がわかれるところだ。

ただ、これから先はパソコンの活用が当たり前なので、出版社はもっといろいろなことをやり始めると思う。

POSデータは基本的なデータになる。

将来的に、多くの出版社が、広くお店に働きかけたほうが得策だと考える可能性は高いと思う。

〔ネットを活用して情報共有〕  インターネットをメディアとして捉えなおしてみると、メディアとしては圧倒的にテレビの影響の方が大きい。

最近印象的だったのは愛子様の愛読書として話題になった『うずらちゃんのかくれんぼ』だ。

皆さんもテレビの影響というのは日々感じているのではないか。

テレビというメディアは広く訴えるところが大きく、瞬間的にベストセラーをつくる。

紹介された情報を知りませんでしたというわけにはいかなくなっている。

 少し視点を変えるが、アマゾンのようなオンライン書店は、書店としての要素とメディアとしての要素を持っている。

メディアという意味ではテレビには遥かに及ばないが、お客様から「アマゾンで在庫があると出てた」「アマゾンのランクで売れている本なんだけど」という問い合わせが出てきたと思う。

新聞広告を切り抜いて持ってくるのと同じ感覚だ。

これからオンライン書店のランキングや紹介にいろんな人が注目し、メディアとして育っていく感じがする。

 メディアとしてのアマゾンは、もう1つ非常に重要な情報を公開している。

それは、「この本を買った人はこんな本も買っています」もしくは「この本を買った人にはこの本もお勧めです」という情報が表示されることだ。

自分のお店でそういうことをやろうとしたらどれだけ大変か、想像いただけると思う。

ところがアマゾンはそれをやっていて、しかも無料で公開している。

アマゾンで紹介されている、もしくは関連本として取り上げられた本が注目されることは、今後充分可能性がある。

 そして、アマゾンはデータベースとしての側面も大きく持っている。

アマゾンは良いか悪いかは別として、在庫情報をかなり明確に出している。

アマゾンで「在庫なし」と出ていて実はある場合は出版社からしてみれば山ほどあるが、逆に「在庫あり」と出ていて在庫が実際はないということはほとんどない。

だから、アマゾンを現時点での書誌情報、在庫情報のデータベースとして使うということは非常に有効な手段だと思う。

 書店としての側面は、アマゾンは一言で言えば通販なので、通販のメリット・デメリットに尽きる。

通販にメディア性とかデータベース性というものが付いているので、ああいった巨大なものになってきている。

個々の店でやるのが非常に難しいことを、お金をかけて公開していて、しかも無償でやっているのだから、いろいろ活用できるのではないか。

 インターネットには、メールやメーリングリスト、掲示板、ウェブサイトというものが手段としてある。

テレビで紹介された本はなかなか全部把握できないと思うが、そういう情報を共有するためのツールとしてインターネットは非常に便利でお金もかからず、早い。

インターネットで情報を共有することは可能になってくると思う。

 インターネットを活用する目的として重要なのは、書誌及び在庫情報データベースである。

これは個々でどうこうできる部分は少ないが、「『うずらちゃんのかくれんぼ』の増刷できたらしいよ」とか、「○○が切れちゃったらしいよ」といった、データベース化されていないようなものでも、在庫や増刷に関する情報をインターネットを活用して共有するのは非常に意味があるのではないか。

 要するにインターネットのメディアとしての部分というのは、1つは手段として話題になったものを共有すること。

もう1つは、わっと話題にするためのメディアということだ。

インターネットが1つのメディアとして確立されることによって、インターネット関連の本というのではなく、インターネットというメディアで話題になっている本というのが徐々に出てくるのではないだろうか。

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