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■全国書店新聞    1月1日号記事
2007/01/01記事一覧      全国書店新聞一覧
  【 今こそ発揮 小さな本屋の底力 】
 仙台市宮城野区福田町の住宅街の一角に、現在売場面積たった7坪で立地する当店。

店主(夫)が育ったこの地域は仙台新港へ通ずる田園地帯で、かつては仙台中心部への交通の便が少なく、読書好きの少年にとって一冊の本を手にするのは至難の技だったという。

その後も地域は旧態依然として図書館はもとより文化施設も何もない地域であった。

読書好きが高じた店主は、冠川のほとりに志を立て、1969年11月3日、28歳で意を決し書店開業の運びとなったのである。

「冠文堂書店」と命名し今年で創業38周年。

筆者は1973年より店主の妻として書店業に携わっている。

 当時、福田町は近隣地区一帯の中心的商店街を形成してそれなりに賑わっていた。

地域文化の発信地、読書推進の担い手と自負し、市内書店の中では坪単価売上げ上位とまで言われた。

 その後地域の田畑は急速に宅地化され、さらに大店法改正により大型ショッピングセンター、郊外ロードサイド店が林立。

瞬く間に地域商店街は空洞化した。

客足、売上げ低迷に歯止めがきかなくなると同時に、本離れが顕著になって活字文化衰退が危惧されるようになった。

 書店経営の不安とともに児童、青少年の未来の有り様にも不安を抱いた私は、書店人の立場からもう少し出版文化を掘り下げ、考え見直したいと思っていた。

その折書店新聞で出会ったのが、出版文化産業振興財団(JPIC)で行なっている「JPIC読書アドバイザー」養成講座だった。

 店主のすすめと励ましもあって、1996年6月から97年2月までの8カ月間に渡って学ぶ機会を得た。

東京で行なわれたスクリーニングでの、全国各地から集った有志との学習はとても刺激的で、読書推進への意欲を掻き立てられた。

 中でも講師の方がおっしゃっていた「書店で本を売って読者(消費者)に本を手渡すことも、図書館で本を貸して読者(利用者)に手渡すことも、おはなし会・朗読会などで読んで語って『本の世界』を手渡すのも、皆同じである」という認識は、目から鱗だった。

日々くり返し行なう店頭販売の業務に追われ、図書館の利用はもちろん、地域文庫活動者たちによるボランティア活動にもあまり関心をもっていなかった自分に気づかされた。

 講座修了後、早速地域市民センターの図書ボランティア育成講座を受講。

書店業務の合間をぬってボランティアグループに仲間入りし、図書室の貸出業務、おはなし会を実践体験した。

「あらっ!本屋のおばちゃん」と窓口で声をかけられ戸惑うこともあった。

その体験で気づかされたことは、書店ではあまり児童書は売れていないが、子どもたちは基本的に「本が大好き!」。

目の前にある本を自由な感覚で気のおもむくままに触れ合っていると実感した。

また、絵本や書籍は借りて読む派が大半を占めている現実を目の当たりにした。

まして不景気風が長期に渡り吹き荒れる中、家庭内における「本」購入費率は微々たるものだ。

 さてに空洞化した商店街ではポツリポツリと廃業店も出て、集客力もすっかり低下。

当店とてそのあおりは免れず、経営対策が急務となった。

売上げ低迷分の経費節減が第一との見解から、一番大きい店舗賃貸経費節減を考慮し、店舗所在地から徒歩5分以内の住宅街の一角にある自宅を店舗化して再出発を図ったのが1998年8月である。

 商店街からははずれ来店数は目減りしたものの、創業以来細かめに配達業務を実施していたので何とか持ちこたえた。

そして自宅店舗を機に、気になっていた児童たちの読書環境づくりの一つとして自宅店舗2階(リビング)を月1回開放し、地域の本好き仲間とグループを結成。

おはなし会、勉強会を定期的に実施した。

毎回子ども15〜20名が集まる。

 また、近くの小学校、学童保育、児童館、子育てサロンにボランティアで出向いている。

この活動は今年で9年目となる。

本を介し子どもたちとふれあうことは、私の書店人としての生きがいをもたらしている。

子どもたちと絵本の世界を共有することで、むしろ私たち大人がボランティアされているかもしれないと思うこの頃でもある。

 ところで書店という本を売る現場に立ち返ると、現実は酷な状況に置かれている。

例えば、市民センターや学校など公共機関で図書購入費が削減されているためか値引を要求される。

大型店も外商に力を入れて太刀打ちできないのが小書店の弱みだ。

再販制度を崩し、利幅の少ない本を売る立場を自ら苦しめてはならないと強く思う。

それとともに業界全体で体制を守るべく提案をすべきではないか。

 合理化、迅速化追求型の社会の中で、本、特に雑誌販売はスーパー・電気量販店等、他業種にも飲み込まれ、書店で売る商品ではなくなりつつある。

雑誌販売の回転に支えられ書籍の販売を可能にしているだけに、「街の小さな書店に未来はあるのか」と自問自答の毎日である。

 だが悲観的発想からは何も生まれない。

むしろ小さい書店だからこそできることはいっぱいある。

小書店の店頭は販売だけでなく、地域コミュニティの役割を担っている。

この小さな空間で出会った一冊が読書の入口になったりする。

来店者は少数だけれどわざわざ足を運んで下さるお客様一人ひとりが愛しく感じられるのは幸せである。

 工夫次第で様々な展開は可能である。

書店人としてもっともっとアンテナを高め日々努力する。

その努力が本の文化を守り、実売アップに必ずや通じることを確信する。

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